"入院中、母が勝手に老人ホームへ送られていた" 第8話
『は、はぁぁッ!? あんた、本気で言ってるの!?』
「本気です。過、私がをにして働いて拠してきた資は、総額で千百万円を超えています。それに加え、実の根の修繕費やの買い替え費用、お義父さんの入院費の穴埋め。すべて私が支払ってきました。ですが、それも今で終わりです」
『ちょっと、健太! あんた、この気な嫁をどうにかしなさいよ! 誰のおかげで吉沢の籍に入れたとってるの!』
「お義母様」
菜緒の声は、どこまでも澄み渡り、そして絶対零度のたさを湛えていた。
「私の母が怪をして倒れた、あなたの息子は母を施設へ放り込み、この実を売り払ってを作ろうとしました。自分の親には毎湯のようにのを求しながら、私の母の活は邪魔者として切り捨てる。そんなたちに差しげるおは、円たりとも残っていません」
『な、なによ……! 息子の稼ぎを自分のものみたいに威張って! 健太の料からせばいいだけの話じゃない!』
「どうぞ、ご自由に息子の料を頼ってください。ただし、健太さんの取り与から毎の宅ローンと活費の分担を差し引けば、元に残るのは万円にも満たないはずですけれど」
『え……?』
「今の吉沢の活設計は、親子でじっくりご相談ください。失礼いたします」
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菜緒は通話終ボタンを押し、即座に子の話番号を着信拒否リストへと放り込んだ。
スマートフォンを座卓のに放りされた健太は、蒼な顔のまま、肩を刻みに震わせていた。
「……菜緒、お、本気で母さんたちへの仕送りを止めたのか?」
「言ったはずよ。すべて止めたと」
「あいつら、だけじゃ暮らせないんだぞ! 親父のは万ちょっとだし、お袋だって国民だけだ! 俺たちの援助がなきゃ、実のローンだって払えなくなる!」
「それを考えるのは、息子のあなたでしょう」
菜緒はややかに言い放った。
「義父が代半で仕事を放りし、パチンコと競馬に溺れて退職を使い果たした、あなたが何と言ったか覚えている? 『俺たちが支えてやらなきゃ親父がだ』と泣きついてきたのよ。私は、あなたを信じて、族を助けるつもりで銭を切ってきた。でも、あなたにとって私は族じゃなかった。ただのづるだったのよ」
「違う! 俺はおを族だとってたからこそ——」
「族だとっていたが、妻の母親のを勝に産に査定させるの?」
菜緒はボストンバッグから、先ほど実の理に見つけした通の茶封筒を取りし、座卓のに叩きつけた。
表には、駅にある産仲介会社のロゴが印刷されていた。
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健太の目が丸く見かれ、息が喉の奥で詰まった。
「こ、これは……」
「あなたが実の段ボールに隠していた類よ。付を見なさい。私が交通事故に遭った翌——415の消印よ」
封筒のには、実のと建物の簡易査定報告が入っていた。
敷面積、延面積、隣の取引相。
そして、査定価格の欄には『千百万円(建物解体費用控除)』と記されていた。さらにその裏面には、健太のきでかれたメモがびっしりと並んでいた。
・売却益:約1,600万円(税引) ・の老ホーム入居:500万円 ・額費用(18万×3分):約650万円 ・残:約450万円(吉沢実の壁塗装および両購入費へ充当)
妻が入院し、の境を彷徨っていたその翌に、夫は義母のを叩き売り、その余剰で自分の実の改修費用を捻する計算表を作成していたのだ。
吐き気を催すほどの卑劣さに、菜緒の指先がりで震えた。
「私が病院で痛みに耐えている、あなたはこの計算を叩いていたのね。母を施設に閉じ込め、度とこのに戻れないように荷物を段ボールに詰め込んで、更にして売りばそうとしていた」
「ち、違うんだ、菜緒! これは、もしもののシミュレーションで……!」
「嘘をつかないで!」
菜緒の声が、静まり返った居に突き刺さった。
「産の担当者欄に名があったから、さっき話で確認したわ。
『吉沢様から、所者の齢女性が認症で施設に入るため、委任状を取り次第すぐに売買契約を結びたいと伺っておりました』って、担当者がはっきり証言したわよ!」