"母に追い出された私が、介護を手放すまで" 第7話
受話器の向こうで、直子がいため息をついた。
『……典型な男様トラップね。由美子、よくも耐えたわよ。本当に偉かった。で、その百万円を取り戻したいの?』
「取り戻せるなら取り戻したい。でもそれ以に……兄が何を隠しているのか、真実をりたいの」
『分かったわ。うちの事務所のデータベースと、私の個なツテで、その「川美穂」の辺をし洗ってみる。……それから由美子、今すぐやることがつあるわよ』
直子の声が、法務のプロとしての鋭さを帯びた。
『実の介護サービス、契約者の名義は誰になってる? もし由美子の名のままなら、お兄さんが滞納した利用料の請求が全部あなたに来るわよ。今すぐ、すべての事業所に話して、名義をさせなさい』
ハッとした。 引き継ぎのに類のファイルは渡したが、公な名義変更の続きなど、あの兄が自分から役所や事業所へくはずがない。
「ありがとう、直子! すぐやるわ!」
私は休憩をびし、帳をいた。 反撃の第の矢を放つが来ていた。
「――というわけですので、私はすでに転居し、母とは別世帯となりました。今の契約者ならびに費用の請求先は、すべて同居されている男の杉本秀様へ変更をお願いいたします」
調剤薬局の裏の非常階段で、私はケアマネジャーの田さん、福祉用具レンタル会社、訪問護ステーション、そしてデイサービスの事業所へ、て続けに話を入れた。
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『杉本さん、本当に実をられたんですね……』 ケアマネジャーの田さんは、話で沈痛な声を漏らした。 『お母様とお兄様から「これからは男夫婦が見るから妹は用済みだ」と伺ってはいたのですが……まさか本当に、あの状態のお母様を残して……』
「申し訳ありません、田さん。でも、母自がそれを望んだのです。私にはもう、あのに留まる権利も義務もありません。緊急連絡先の第順位も、すべて兄の携帯話に切り替えてください。私の番号は、リストから削除していただいて結構です」
『……承いたしました。杉本さんがどれほど献に尽くしてこられたか、私たちは全員っています。これからの請求は、すべてお兄様宛てに送付いたしますね』
午。 実のインターホンが鳴った。
定の休暇を消化で、でゴロゴロとテレビを見ていた秀が、苛ちながら玄関をけた。 そこにっていたのは、福祉用具レンタル会社の営業マンだった。
「杉本秀様ですね。妹様より名義変更のご連絡をいただきまして、介護ベッド、歩器、ポータブルトイレの規ご契約をお持ちいたしました」
営業マンは、丁寧にお辞儀をしながら、複写式の分い契約類と、枚の請求を差しした。
「こちらに秀様のご署名とご捺印、ならびに座振替の指定をお願いいたします。
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……それと、こちらが今分の未払いご利用細となっております。本、現でお預かりできますでしょうか?」
秀は怪訝そうに請求を受け取り、そこに印字された数字を見た。
【ご請求額:¥28,450】
「……は? に、万千円? おい、介護保険使ってんだろ? なんでこんなにいんだよ!」
営業マンは眉つかさずに説した。 「はい、介護3の区分支限度額の範囲内ですが、特殊寝台のオプションマットレスと、用歩器の加算分が含まれております。これまでは妹様が毎お支払いいただいておりました」
「妹が……払ってた……?」
そこへ、騒ぎを聞きつけたマリが奥から顔をした。 「ちょっと秀、何のおよそれ!?」 マリは秀のから請求をひったくり、その額に目を剥いた。
「万千円!? これ、毎かかるの!? デイサービス代やヘルパー代は別でしょ!? 全部でいくらになるのよ!!」
営業マンは帳をき、淡々と補した。 「デイサービスが週回で約万千円、訪問護が回で約千円、訪問リハビリが万千円。おむつや材料の実費を含めますと、毎おおよそ万千円から万円が、ご族様のご負担となります」
「きゅう……まん……!?」
マリの鳴が、玄関ホールに霊した。 母のから毎の費や費を引けば、元に残るなど数万円。