"炎天下に追い出された新人と、5年ぶりに戻った男" 第8話
最階、第役員会議。 なウォールナットの円卓を囲むように、数名の取締役たちが緊張した面持ちで着席していた。
座の席に、作業着の着を脱ぎ、糊の効いたいワイシャツに着替えた滝川が座っている。 その対面、末席のパイプ子に、汗でビショビショになったハンカチを握りしめた黒岩が、針の筵に座らされた罪のようにさくなって座っていた。
「……それでは、臨役員会を会する」 役の常務が苦しい調で告げた。 「今朝の取締役会において、滝川武君の専務執役員への就任が正式に決された。本は滝川専務のい請により、緊急のコンプライアンス事案について審議をう」
滝川は元の黒い革製ファイルをゆっくりといた。 「置きは省きます。事実だけを報告する」
滝川の声が、徹に理の壁に反響した。
「昨および本、総務部において、入社員名に対し、症警戒アラート発令における炎の周むしりが命じられました。分補の会も与えられず、当該社員は症で識を失い、先ほど救急搬送されました。……これは、労働全法第条のに違反する、な全配慮義務違反です」
役員たちのに、ざわめきがった。 「なっ……症で救急搬送!?」 「この猛暑の、にむしりをさせただと!?」
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「ま、待ってください!」 黒岩がね起きるようにちがった。脂汗が顎からテーブルへとボタボタと落ちる。 「ご、誤解です! あれはの自発な社精神の現れでして! 研修の環として、本がどうしても敷を綺麗にしたいと言い張るから、私はやむを得ず許しただけで……!」
「嘘をつくな」 滝川の鋭いが、黒岩の言い訳を砕した。
「『全部終わるまで戻ってくるな』とフロア全員ので鳴りつけた音声を、すでに保全してある。……さらに、これを見ろ」
滝川はファイルから、数枚の類のコピーを円卓の央へと滑らせた。
「半、契約解除されたはずの『グリーン企画』に対する、毎万円の架空委託費の支払い記録。……そして、その資が最終に還流しているペーパーカンパニー『吉田商事』の登記簿謄本だ。代表取締役・吉田勝。……黒岩部、あなたの配偶者の実弟ですね?」
「ひっ……!」 黒岩の喉から、ヒキガエルのような鳴が漏れた。
「増し請求、架空発注、過の総額は億千万円に達する。……黒岩、君がを炎に放りし、倉庫に閉じ込めた本当の理由は、彼女がこの正伝票に気づいたからだな?」
役員たちから、号ががった。 「億千万だと!?」 「なんて奴だ! 会社のを私腹を肥やすために横領していたのか!」
追い詰められた黒岩は、狂乱状態で円卓の奥――腕組みをして沈黙を守っていた男へとすがりついた。
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「や、常務!! 助けてください! 経費削減の実績は、常務もごのはずです! あのは、常務の派閥の交際費にも回していたじゃありませんか!!」
専任常務(歳)。 、滝川を方へ追放した張本であり、社内の実権を握る最派閥のドンだった。 は持っていた万を静かにテーブルに置くと、ゴミを見るようなたい目で黒岩を見ろした。
「……見苦しいぞ、黒岩部。私がおの私な横領などるはずがないだろう。……滝川専務、この件は総務部内の祥事として、社内調査委員会で慎に事実確認をうべきだ。今ここで結論を急ぐのは――」
が事態をもみ消そうとをいた、その瞬だった。
バアンッ!!
会議のな防音扉が、激しい音をてて側から押しかれた。
扉の向こうにっていた物を見た瞬、を含めた全役員が斉に子からび起き、直の姿勢を取った。
仕ての良いスーツを脱ぎ捨て、袖をまくったいシャツの襟元に、純の社章をらせた筋骨隆々の初老の男。 焼けした彫りのい顔にはい疲労が刻まれていたが、その両から放たれるは、猛虎のように獰猛だった。
代表取締役社・正浩郎(歳)。 欧州でのちげのため、ヶ張にていたはずの最権力者が、予定をめて今まさに帰国したのだ。