"父の葬儀を捨てた夫へ、亡き父が遺した最後の証拠" 第8話
「誰が撮ったかは関係ないわ。あなたが昨、父の告別式の最に会社ではなく倫相の部へき、朝までそこで過ごしていたという客観な事実がここにあるだけよ」
「ち、違う! これは誤解だ! リサとは仕事の打ちわせで……あいつの会社との契約が切れそうだったから、必で引き留めにってだな……!」
「から、週に回も仕事の打ちわせで彼女の部に泊まり込んでいたの?」
美央はクリアファイルから、探偵事務所が作成した分い報告をドサリと机のに置いた。
ホテルでの密会、旅先での領収のコピー、が腕を組んで歩く無数の写真。ページをめくるたびに、健太郎の喉からヒュウという掠れた息の音が漏れした。
言い逃れの余など、最初からミリもしなかった。
「……お義父さんが、調べさせたのか」
健太郎は両をテーブルにつき、額から滝のような汗を滴らせながら絞りすように呟いた。
「そうだ。父は、入院からあなたの卑しい企みに気づいていたわ」
美央は髪を入れずに、つ目の類――健太郎の会社『スタジオ・ケン』の財務諸表と、千万円の銭消費貸借契約(案)のコピーを叩きつけた。
「倫だけなら、単なる愚かな男の過ちで済んだかもしれない。でも、あなたは何をしようとしていたの? 父が遺した杉並の駅ビルを勝に担保に入れて、私の名で千万円の連帯保証を組ませようとしていたわね」
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健太郎の全がびくりとねがった。
「そ、それは……! 会社を守るためだ! 会社の資繰りがにショートしそうだったから、お義父さんの遺産が入ればにて直せるとって……! 返すつもりだったんだ! 騙すつもりなんてなかった!」
「私の名が鉛できされた承諾を、私に言の相談もなく融ブローカーへ持ち込んでおいて、よくそんな嘘が吐けるわね」
美央は静かにちがり、夫を見ろした。その瞳には、もはや憎しみすら浮かんでいなかった。ただ、傍の汚物を見るような、絶対の軽蔑だけがあった。
「父の病で、あなたがやけに相続や評価額の話ばかり聞いていた理由が、すべて分かったわ。あなたは父のをしむどころか、自分の借を埋めるための『都のいい蔓』がぬのを、今か今かと待ち構えていたのよ」
「違う! 俺は……!」
「違わないわ。昨、あなたが式を抜けしたのも、リサと会うためだけじゃなかった。曜の融資実に向けて、担保物件の名義変更の段取りをつけるためだったんでしょう」
図を指された健太郎は、を半きにしたまま完全に沈黙した。
その、玄関のチャイムが鳴った。
インターホンの受話器を取るまでもなく、から々しい声が響いてきた。
「佐伯健太郎さん、いらっしゃいますか。
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法律事務所の事務員です。弁護士からの委任状に基づき、公正証の送達と、物件の保全続きに参りました」
健太郎が青ざめて玄関を振り返った。
「弁護士……? おい、美央、警察を呼んだのか!? 親族のでこんなげさなこと……!」
「げさ? 千万円の詐欺未遂と、の貞為よ。あなたこそ、自分がどれほどの犯罪為にを染めていたのか、まだ理解できていないの?」
美央は玄関へ向かい、ドアをけた。
入ってきたのは、弁護士から派遣された屈な男性事務員名だった。彼らは慣れた作で受任通と、産に関するち入り制限の通告を健太郎の胸元へと突きつけた。
「佐伯健太郎氏。被相続・佐伯正雄氏の遺言に基づき、当を含む全産の単独所権は佐伯美央氏に帰属しております。本をもって、貴殿の当へのち入りを切禁止いたします。の回りの私物をまとめた、速やかに退してください」
「た、退……!? 俺のだぞここは!」
「購入資のの割、ならびに宅ローンの保証は、すべて正雄氏から美央氏への特財産贈与によって賄われております。貴殿の寄与分は極めて軽微であり、婚姻費用の清算によって相殺される見込みです」
事務員が酷に言い放つと、健太郎は膝から崩れ落ち、フローリングのに両をついた。