"夫に捨てられた盲目の妻が隠していた秘密" 第4話
「ふふふ……これでおはお役御免だ。俺の座には、見たこともねえ桁のゼロが並んでるはず……」
画面がローディングの円を描き、残確認のページへと遷移する。 拓也は期待にのを伸ばし、ディスプレイを凝した。
【普通預残:¥0】
「……あ?」
拓也はわず瞬きを繰り返した。画面をにスワイプし、何度もリロードをかける。
【普通預残:¥0】 【おらせ:本座は現、法保全続きによりに取引が制限(全面凍結)されております。詳細はお取引までお問いわせください】
画面の央に、血のように真っ赤な太文字の警告文が点滅していた。
「な……なんだこれ!? ゼロ円!? 凍結だとぉ!?」
拓也の喉から、裏返った叫びが漏れた。 続からけたたましいクラクションを鳴らされ、慌ててアクセルを踏み込む。だが、臓は鐘のように乱れ打ち、のひらには嫌な汗がじっとりと滲みしていた。
「嘘だろ!? なんで凍結されてんだよ! 俺の名義の座だぞ!? 咲のは違いなく昼に引き落とされて送続き完の通が来てたはずだろ!!」
パニックに陥った拓也が肩にを急させ、の緊急ダイヤルへ発信しようとした、まさにその瞬だった。
ブブブッ、ブブブッ――!
元のスマートフォンが激しく振した。 画面に表示されたのは【非通設定】の文字。
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拓也は舌打ちをしながら、苛ち任せに通話ボタンを乱暴にスワイプした。
「おい! 誰だ夜に! こっちは取り込みなんだよ!」
鳴りつけた拓也に対し、受話器の向こうから返ってきたのは、の毛もよだつほどく、威厳に満ちた、聞き慣れた老の声だった。
『……随分と取り乱しているようだな、拓也』
その声をにした瞬、拓也の全からスッと血の気が引き、内のが効いているにもかかわらず、指先がガタガタと震えした。
「お……や、親父……?」
あり得ない。絶対にあり得ない。 父親の吉夫は、の脳梗塞で倒れて以来、方の療養施設でチューブに繋がれ、言葉を発することすらできない廃同然の状態のはずだった。主治医からも「面会は刺激になるため控えてほしい」と言われ、拓也自、遺産目当てで半に度形式に顔を見にくだけだったのだ。
「な、なんで親父が話を……! 親父は喋れるはずが……!」
『の利き方に気をつけろ、この親孝者が』 受話器の向こうの吉夫の声は、健康そのものだった。それどころか、現役の会代を彷彿とさせる、徹無比な覇気が話回線を通じて突き刺さってくる。
『私の病状は、おが寄り付きもしなかったおかげで、とっくの昔に完治していたのだよ。……おが会社のを横領し、咲さんの個資産を勝に引きそうとしていた証拠は、すべて元に揃っている。
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先ほどその座を差し押さえさせたのは、でもない私だ』
「な、なんだって……!? あんたが凍結させたのかよ!?」
拓也の脳内で、築きげてきた完全犯罪のがガラガラと音をてて崩壊し始めた。 だが、追い詰められた拓也のからびしたのは、謝罪でも反省でもなく、醜悪極まりない逆ギレの罵声だった。
「ふざけんじゃねえぞクソジジイ! あんた、あの目暗女と結託して俺をハメたのか!? あんな自分で飯もえねえお荷物の障害者、俺が捨ててやって何が悪いんだよ! あんたもあんなゴミ女の方をするなら、親子の縁を切って会社ごと潰してやるからな!!」
話から、拓也の汚らしい暴言がスピーカーを通じて内に響き渡る。 その、吉夫の運転する黒塗りのセダンの部座席で、咲は静かにスピーカーホンを見つめていた。 彼女の美しい瞳には、滴の涙もなかった。ただ、氷の底のようなたいが宿っていた。
拓也は話を方に叩き切ると、狂ったようにステアリングを殴りつけた。 「クソッ! クソッ! だがまだだ……まだ俺にはリカがいる! リカの部の庫に、横領した現千万円と、咲に無理やりサインさせた実の権利が保管してある! それさえありゃあ、今すぐびできる!」
拓也は再びアクセルをまで踏み込み、・リカが待つ都の級タワーマンションへとを急発させた。
だが、彼が転がり込もうとしているその部で、さらなる奈落の底がをけて待っていることなど、る由もなかった――。