"私を捨てた元婚約者が、十数年後に知った本当の私" 第11話
ドスンとにを打ちつけた吉は、見苦しくを伸ばし、群衆のにつ真子を見げた。
「ま……真子……! 頼む、助けてくれ! 俺が悪かった! おが番正しかったんだ! おの夫に頼んで、俺を助けてくれ……!」
真子は、え切った差しを、に塗れたかつての婚約者へと落とした。
「私には、何の関係もありません」
その言を図にするように、幹事の理恵が配したホテルの警備員名が、インカムを押さえながらにフロアへと踏み込んできた。
「法侵入者です! そのを即刻つまみしてください!」
理恵の毅然たる指示のもと、吉と美は警備員たちに両脇を抱えられ、靴を引きずりながら、みっともない鳴をげて宴会のへと引きずりされていった。
扉が々しく閉ざされ、騒乱の主たちが完全に排除された、会には瞬の静寂が訪れ、次いで割れんばかりの拍と歓声が巻き起こった。
「真子、京介くん、本当に格好良かったぞ!」 「あんな奴、最初から相にする価値もなかったな!」
同級たちの温かい笑顔に包まれながら、真子は隣につ京介を見げた。京介は優しく微笑み、真子のえ切っていた指先を、そのきな掌で力く包み込んでくれた。
同窓会の夜から週。
初のたいが吹き抜ける夕暮れ、真子は総病院での来診察を終え、駅の調剤薬局へ処方箋の確認に向かっていた。
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通りのなくなったの角を曲がった瞬、暗い灯のから、ぼろぼろのトレンチコートを着たがふらりと現れた。
「……真子」
掠れた、気のない声。
ち止まった真子の界に映ったのは、週で見違えるほどやつれ果て、無精髭を伸ばした吉の姿だった。着古したスーツにはがね、靴底はすり減り、かつての傲な面はつ残っていなかった。
「……何の用ですか。これ以付きまとうなら、警察を呼びます」
「頼む、真子! 話を聞いてくれ!」
吉はそののアスファルトのに両膝をつき、額を面に擦り付けた。
「会社をクビになった……エミナの親父に、懲戒解雇をらったんだ! 退職もない、業界に悪評を流されて、どこの会社も履歴すら受け取ってくれないんだ! 美は毎俺のアパートに押し掛けてきて、を寄越せって暴れ回るし……俺、もう首を吊るしかないんだよ!」
真子は歩ずさり、を交えずに見ろした。
「すべて、あなたが自分で選んだき方の結果でしょう。私に泣きついてどうするの」
「おにしか頼めないんだ!」吉は血った目をげ、すがるように両を伸ばした。「俺の親父……富本源蔵に、おから利きをしてくれ!」
「お父様に……?」
「親父のが持っている、あの国宝級の特殊指物の技術だよ! エミナの親父の会社が、今度の規模な伝統芸再発プロジェクトで、親父のの独占協力を取り付けようと必になってるんだ! もし俺が親父を説得して契約を結ばせることができれば、解雇を取り消して、もう度役員に戻してやるって、エミナの親父が条件をしてきたんだよ!」
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吉は狂ったように笑い、畳み掛けるように喚きてた。
「おなら、今でも親父と賀状をやり取りしてるんだろ!? 親父はおの言うことなら何でも聞くはずだ! 頼む、親父に話して『吉のために技術を提供してくれ』って頼んでくれ! 俺を助けてくれよ!」
真子の胸の奥底から、たいりを通り越して、底れぬれみが湧きがってきた。
この男は、どこまで堕ちれば気が済むのだろうか。
かつて自分が「代遅れのジジイだ」と唾を吐きかけて逃げし、結婚式に呼ぶことすら拒絶した実の父親の技術を、今また自分の保のために具として利用しようとしているのだ。
「吉。残だけど、お父様のは、すでに独占契約を結ばれたわよ」
吉のきが、ピタリと止まった。
「……は? 独占契約……? ど、どこの会社とだよ……」
「関精ホールディングスよ。私の夫の会社」
真子の静かな声が、夜に乗って響いた。
「京介はね、先端医療器の筐体に、お父様が持つ狂いのじない超精密な伝統指物技術を融させるしい研究をめていたの。