"私を捨てた元婚約者が、十数年後に知った本当の私" 第7話
「久しぶりだね、関会……いや、真子さん」
京介は、代としも変わらない、みのある穏やかな声で微笑んだ。
学卒業、業である老舗の精密器部品メーカー「関精」に入社した京介は、過酷な現修と徹底した肉体改造を自らに課し、キロ以の減量を成功させていた。さらに、同社が培ってきた微細加技術を医療器分野へと展する規事業をちげ、倒産寸だった企業をわずか数で証プライムのコングロマリットへと急成させていたのだ。
「ずっと、探していたんだ。を卒業してから、俺は自分が誇れる男になるまで、あなたに声をかける資格はないと自分を戒めてきた。……富本君との件を聞いた、俺がもっとく迎えにっていればと、血を吐くほど悔したよ」
レストランの静かな個で、京介はまっすぐに真子の瞳を見つめ、静かに告げた。
「真子さん。代、誰も見向きもしなかった俺の努力を、あなただけが認めてくれた。あの差ししてくれた温かいお茶のを、俺はたりとも忘れたことはない。……俺のこれからのを、あなたを守るために使わせてほしい。結婚を提に、付きってください」
嘘偽りのない、魂の底からの告だった。
裏切りによって凍てついていた真子のは、京介の器用なまでの誠実さと、をねても褪せないいによって、の解けのようにゆっくりと解き放たれていった。
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交際を経ては歳で結婚し、翌には男の千が誕した。
医師としての真子のキャリアを誰よりも尊し、当直のには自ら厨にって息子の好物を作り、学会発表のには何でも論文のスライドチェックに付きってくれる伴侶。
「真子、君がを救う仕事に誇りを持っている姿が、俺の何よりの誇りだよ」
そう言って笑う京介のには、代と同じ、実直な職の温もりが宿っていた。
そして今、歳を迎えた同窓会の会――。
「俺だけ幸せになっちまって、ごめんなw」
目ので、れなピエロのようにっぺらな優越を振りかざす吉を見ろしながら、真子はややかな溜息をさく吐きした。
この男は、本当に何もらないのだ。
自分が元にも及ばない本物の巨が、すでに真子の隣にっているという現実を。
「な、なんだよその目は……! 『本当にそうう?』って、どういうだよ!」
真子の揺るぎない差しに気圧され、吉は引き攣った笑みを浮かべながらずさった。周囲を取り囲む同級たちも、異様な緊張を察して息を呑んでいる。
「言葉通りのよ、吉」
真子は歩へ踏みし、吉の隣につエミナへと静かに線を移した。
「奥様、エミナさんとおっしゃいましたね。あなた、ご自の夫がどういう経緯で私との婚約を破棄したか、正確にごじかしら?」
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エミナのった眉が、ピクリとそうにねがった。
「はあ? 昔の終わった恋話なんて興ありませんけど。吉さんからは、あなたが仕事にかまけて庭を放置したせいで、すれ違いになって円満に別れたって聞いてますけど?」
「円満?」
真子の唇から、徹な失笑が漏れた。
「、結婚式を目に控えたある夜、私が当直けで自宅に戻ると、この男は玄関に見らぬ女のハイヒールを脱ぎ散らかし、リビングのソファで別の女性と抱きっていたのよ。相は同じ学の磯神美。そので私に『おに飽きたから婚約破棄する』と言い放ち、私の自宅から逃げしたの。……それが、あなたの夫の言う『円満な別れ』の真実よ」
宴会のあちこちから、息を呑む音と鋭い囁き声ががった。
「うわ、やっぱり美との浮気だったんだ……」 「式の直に浮気してき直ったって、当の噂、本当だったのね」
「お、おい真子! 昔の話を蒸し返すなよ!」吉が真っ赤になって鳴り声をげた。「美とはただの気の迷いだったって言っただろ! おがたかったから、俺だって寂しかったんだよ!」
「気の迷いで浮気をして、責任を親に押し付け、父親に座させて慰謝料を払わせた男。……エミナさん、あなたは素らしいご趣をお持ちね」