"閉じ込められた臨月の妻" 第1話
加奈が妊娠38週に入ったのは、夫の匠が張へる3だった。予定まではあと12。初産で、医師からは「いつ陣痛が始まってもおかしくありません」と言われていた。
32歳の匠は総商社に勤めている。今回の張はシンガポールでめてきた案件の最終調で、半から程が決まっていた。それでも発当の朝まで、「やっぱり断ろうかな」と迷っていた。
「丈夫だよ。病院までで15分だし、陣痛タクシーも登録してあるから」
加奈が笑うと、匠はきな腹にを当てた。
「何かあったら、本当にすぐ連絡して。俺、最便で戻るから」
「分かってる。あなたが帰るまで待っててって、この子にも言っておく」
腹ので子供がき、2は顔を見わせて笑った。
加奈は28歳。結婚4目だった。夫婦仲は穏やかで、きな満はなかった。問題があるとすれば、匠の両親との関係だけだった。
義父の隆は65歳。で管理職を務め、退職した今も元部や取引先との付きいを切にしている。義母の美智子は62歳で、自分たちのを「教育と品格をんじる庭」と表現するのが好きだった。
2が加奈との結婚に反対した理由は、加奈の性格でも仕事でもない。
父親の学歴だった。
加奈の父・法条源次郎は、学を卒業するとすぐ町へ入った。
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、属加、設備施を現で覚え、30代で独した。
両顔わせの、美智子はその話を聞いた瞬に言った。
「卒なんですか?」
源次郎は気にした様子もなく、「そうですよ。15から働いてます」と答えた。
そのの源次郎は仕事帰りで、ジャケットのに作業を着ていた。名刺には《法条設備株式会社 代表取締役》とあったが、隆も美智子もそこにはほとんど興を示さなかった。
帰宅、匠は両親に呼びされた。
「おなら、もっと釣りう庭の娘と結婚できるだろう」
隆がそう言うと、匠はすぐに聞き返した。
「釣りうって何?」
「結婚は本同士だけの問題じゃない。庭環境も教育もある」
美智子も続けた。
「匠はさい頃からちゃんとした教育を受けてきたのよ。どうしてわざわざ価値観の違うの娘を選ぶの?」
その、匠は初めて両親へはっきり逆らった。
「加奈と結婚できないなら、俺はこのと距を置く」
それまでの匠は、学も習い事も学先も、両親の希望からきくれたことがなかった。学も就職も、隆が「いい」と言ったを選んできた。
加奈との結婚が、匠が両親の向を無して選んだ初めてのきな決断だった。
美智子はそれを、息子が成したとは受け取らなかった。
「あの女に息子を奪われた」
そう考えた。
結婚、美智子の嫌はしずつ増えた。
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「のでは、こういう料理をすの?」
「級建築士って言っても、今はにいるんでしょう?」
「妊娠したら完全に匠に養ってもらうのね。楽でいいわね」
加奈は婚、級建築士として父の会社で宅設備や造施設の設計をしていた。妊娠をに現をれ、産もしばらく休む予定だった。
美智子は、それを「仕事を辞めた」と解釈した。
加奈は何度か匠に話そうとした。しかし最にはいつも、「ちょっとわないだけだから」と軽く済ませた。
匠が母親へく言えば、さらに関係が悪くなる。自分がしすれば、夫は両親と完全に縁を切らずに済む。
そうっていた。
父の源次郎は、娘が公婆とわないことに気づいていた。
ある、会社の事務所で加奈が美智子との話を切った、源次郎が聞いた。
「また向こうのお母さんか」
「うん」
「何言われた」
「別に」
「その顔で別にはないだろ」
加奈は笑った。
「匠がちゃんと守ってくれてるから丈夫」
源次郎はしばらく娘を見た。
「匠君がいい男なのはってる。ただ、おがしてることを匠君がらないなら、守りようがないぞ」
加奈は答えなかった。
父の言葉は正しかった。それでも、自分から夫へ「あなたの親にこんなことを言われた」と毎回報告するのが嫌だった。
夫婦のへ義両親を持ち込みたくない。
そうった。
結果として、匠は「母さんは加奈を好いてはいない」程度にしか認識していなかった。
妊娠が分かった、最初にんだのは匠だった。