"面接官の誤算" 第5話
応募者管理の続きとしても異常だとい、その事実も兄へ伝えていた。
その、俺は普段通り仕事を続けた。
もちろん悔しさが消えたわけではない。面接の面をいすたび、違う言葉を返せばよかったのではないか、もっとく抗議すべきだったのではないかと考える夜もあった。それでも、あのでにならなかったからこそ、事実だけを兄へ伝えられたのだとうようにした。
ある曜の夕方、兄から連絡が入った。
《来週曜、午10。都アドバンスへ来られるか》
会社名を見ただけで胸がざわついた。
《ける。何か分かった?》
《かなり》
それ以、兄はメッセージでは説しなかった。
曜、俺は休暇を取り、1かぶりにあの本社ビルのへった。以は憧れと緊張で見げた建物だったが、今は派な観を見ても複雑なしか湧かなかった。
受付へ向かうと、偶然にも最終面接のに俺へ声をかけた社員がいた。相は俺を見て瞬驚いたようだったが、すぐに仕事の顔へ戻り、「お待ちしておりました」と丁寧にをげた。
今回は面接ではない。
案内されたのは役員会議だった。
扉をけると、最初に兄の姿が目へ入った。
濃紺のスーツ姿で机の央付に座り、元には分い資料が置かれている。その周囲には見らぬ男女が数並び、番奥には都アドバンスの社、岸本が険しい表で座っていた。
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そして。
側の席には。
佐野がいた。
顔が悪かった。
俺が入ってきた瞬、佐野の目がきく見かれた。
「忙しいところ悪かったな、達郎」
兄がそう言うと、佐野はさらに表を変えた。
俺は兄の隣へ座りながら軽くをげた。
「こっちこそ。こんなことになって悪いな」
「おが謝ることじゃない」
その会話を聞いていた佐野が、乾いた唇をかした。
「……お」
俺は彼へ向き直った。
「あのはお世話になりました」
なるべくを込めず、普通に挨拶した。
佐野の線が俺と兄を何度も往復した。
「島副社……このをっているんですか?」
兄が返事をするに、俺が答えた。
「っているも何も、兄ですから」
佐野の顔から血の気が引いた。
「兄……?」
「最終面接で話しましたよね。両親が婚していて、俺は母方の姓を名乗っているんです」
佐野は、そこで初めて俺の言葉をいしたらしい。
「じゃ、じゃあ……島副社の弟?」
兄は静かに頷いた。
島カンパニーは都アドバンスの親会社であり、グループ全体の経営方針や事監査について定の権限を持っている。兄はその島カンパニーの副社として、はグループ会社のコンプライアンス改善も担当していた。
佐野は子の背へ沈み込んだ。
しかし兄は、そこで彼を追い詰めるような言葉をにしなかった。
「勘違いしないでください」
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兄は資料をきながら言った。
「今は、弟を採用にしたことへ抗議するために来たわけではありません」
佐野の目に、ほんのしだけ堵が浮かんだ。
だが兄は。
次の言で。
その表を完全に消した。
「問題なのは、あなたが誰を採用にしたかではありません。どういう方法でを選んできたかです」
会議には、親会社から来た事担当者とコンプライアンス担当者も同席していた。俺はそこで初めて、兄たちがこの1かにどこまで調査をめていたのかをった。俺の面接はきっかけのつにすぎず、以から都アドバンスの採用部について複数の相談が寄せられていたのだという。
「まず確認しておきます」
兄は佐野へ向かって言った。
「弟が私の内であることは、選考担当者へ切伝えていません。応募類も通常の応募者と同じ経で提し、次、次の評価もこちらから操作していません」
社の岸本も、その点については確認済みだと頷いた。
俺自、兄に頼んで格させてもらいたいとったことはなかった。むしろ内であることがられれば、公平な評価を受けられなくなるとっていたため、母方の姓である館をそのまま使い、族について聞かれても兄の勤務先までは答えなかった。
「だったら何なんです」
佐野はまだ状況を理解しきれないようだった。