"面接官の誤算" 第2話
「もちろん、おの転職は本気で受けていい。選考が公平で、おが格したなら俺は止めない。ただ、気になったことがあればそのまま教えてほしい」
俺はしばらく考えたあと、頷いた。
憧れていた会社へ挑戦できる。
しかも、兄の仕事をしだけ伝える。
そのの俺には、これ以ない会にえた。
まさかその会社で、俺がこれまで経験したことのないほど骨な侮辱を受けることになるとは、そのは像すらしていなかった。
都アドバンスへの応募を決めてから、俺の活は面接対策をに回り始めた。平は仕事を終えてから企業研究をし、休には過の採用報や事業報告を読み込んだ。兄が内部報を渡すことは切なく、「応募者としてることのできる範囲で準備しろ」と言われていたため、俺も普通の転職希望者として正面から挑むことにした。
母にも何度か面接練習につきってもらった。最初は「私が面接官なんてできないわよ」と笑っていたが、いざ始めるとに容赦がなく、「その答えじゃ、あなたを採用したい理由が分からない」と真顔で突っ込んでくる。おかげで、自分では説できているつもりだった志望の曖昧さにも気づくことができた。
兄はさらに厳しかった。
「達郎、質問に答えようとしすぎるな。
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面接官が何をりたいのか考えてから話せ」
「難しいこと言うなよ」
「採用はクイズじゃないんだ。正解を答える所じゃなく、お互いが緒に働けるか確認する所だろ」
俺はその言葉を何度もので反復した。相に気に入られようとするだけではなく、自分も相を見る。そう識するようになってから、議と面接への恐怖はれていった。
次面接はオンラインでわれ、現の課と採用担当者が参加した。仕事内容や転職理由について丁寧に質問され、こちらからの質問にも分なを取ってくれたため、終わったには「やっぱりいい会社だ」とじていた。
数、次通過の連絡が届いた。
次面接では実際に本社へを運び、部クラスの社員と話した。学名や現の会社ではなく、これまでどんな失敗をし、そこから何を学んだのかをかなり細かく聞かれた。厳しい質問もあったが、さはなく、むしろ自分自を見直すような1だった。
次通過のメールを見た、俺はすぐ兄へ話した。
「最終までった」
「おお。ちゃんと自分で通ったな」
「その言い方やめろよ」
「事実だろ。俺は何もしてない」
兄は笑ったあと、「ここからが番事だぞ」と声を変えた。
親会社側へ寄せられていた相談では、最終面接に入った途端に態度が変わったという証言が複数あったらしい。
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次と次では普通だったのに、役職のい面接官が参加すると、学名や族構成を理由に格まで評価されたという話もあった。
「もし変だとうことがあっても、挑発には乗るな」
「分かってる」
「腹がったら、そので勝とうとするな。見たこと、聞いたことを覚えて帰ってこい」
兄らしい言い方だった。
俺は「配しすぎだよ」と笑ったが、話を切ったあとも、その言葉がし気になった。
それでも、自信の方がきかった。次、次と評価され、最終まで残った以、なくとも俺には採用を検討してもらえるだけの価値がある。あとはこれまで準備してきたことを、普段通り話せばいいとっていた。
最終面接のがづくにつれ、緊張と期待が入り混じった。朝起きた瞬から企業のことを考え、通勤では定質問を読み返し、寝るには鏡ので志望を声にした。こんなにもつの会社へ入りたいとったのは、卒の就職活を含めても初めてだった。
の夜、母は夕を並べながら、「落ちてもが終わるわけじゃないからね」と言った。
「縁起悪いな」
「違うわよ。受かってほしいからこそ言ってるの。受かるために自分じゃなくなる必はないってこと」
その言葉も、兄の言葉とどこか似ていた。
俺は笑って、「分かってる」と答えた。
翌朝、ネクタイを締めながら鏡を見ると、自分でも分かるほど顔が張っていた。