"団地に残された17通" 第3話
「藤本さん、あんたがを隠してたって話になってるぞ」
「隠したつもりはありません。でも、く保管していたのは事実です」
「俺宛てのもあるのか」
「誰宛てかは話せません」
用具庫から箱が運びされるところを見た民が、団内で話を広げていた。美は自治会役員へ、《個報に関わる物品が発見されたため、管理会社が確認》と説したという。
翌朝、何かの民が志津を避けた。
「うちの郵便物も持っていないでしょうね」
直接尋ねてきた女性もいた。
「郵便受けから取った物はつもありません。ごみ集積所などで拾った、投函の封筒だけです」
説しても、相の表はれなかった。
勤務が終わる頃、美が用具庫のにっていた。
「やはり、民の物を勝に集めていたんですね」
「管理会社へ報告しました。処分しなかったことは、私の判断が違っていました」
志津が認めると、美は瞬言葉を失った。
「でも、悪気がなかったと言いたいんでしょう」
「悪気がなければ正しいとはっていません」
「だったら、もっとく渡すべきでした」
「その通りです」
美は反論の相を失ったように黙った。
志津は彼女の横を通り、用具庫の鍵を閉めた。
過ちを認めることは、相の言うことをすべて受け入れることとは違う。を保管したことが違いでも、署名の目を曖昧にし、分な説なく契約を終わらせることまで正当になるわけではなかった。
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管理会社から届いた詳しい説には、3つの理由が記されていた。
勤務に民へ接触し、会社の指示も完全には改善されなかったこと。民から継続な苦があり、現との信頼関係が損なわれたこと。私信を期保管し、会社への正式な報告を怠ったこと。
志津は、の件を除く2点に異議があった。
勤務の声かけを控えるよう言われたあと、団へ入ったのは凛と会っただけだった。そのも散歩の途で公園を通り、暗い所にでいた子どもを見つけたのである。
民からの苦についても、具体なや内容を度も確認させてもらえなかった。
志津は役所の無料法律相談へった。担当した司法士は、雇用問題なら都府県労働局の総労働相談コーナーへ相談した方がよいと教えた。
翌週、志津は勤務記録、雇用契約、管理会社からの通、署名望の写しを持って相談窓へった。
相談員は、13回更されていること、過の勤務評価、更しない理由が示された期などを確認した。契約終が直ちに無効になるとは断言できないが、期にわたり反復更されている、更への理な期待が認められる能性があるという。
「復職を希望しますか」
尋ねられ、志津はすぐに答えられなかった。
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仕事を続けたい気持ちはある。しかし疑いの目を向けられた所へ、以と同じ条件で戻ることが正しいともえなかった。
「まず、なぜ私の話を分に聞かず契約を終わらせたのか、会社から説を受けたいです」
志津は労働局による助言・指導を申した。
労働局は裁判所ではなく、契約終を無効にする命令はさない。会社へ自主な話しいを促し、解決の方向を示す制度だった。
管理会社は話しいに応じたが、契約終の方針は変えなかった。その代わり、最終勤務までの賃に加え、1か分の解決を支払うと提案した。
志津は、すぐには承諾しなかった。
自分の勤務やを記録したノートを見直した。午5から830分までの業務は細かくいていたが、夕方の散歩や民への声かけは記録していない。
自分では仕事ではないとっていたからである。
しかし民から見れば、制を脱いだあとも、志津は「団の清掃員」だった。活について尋ねられれば、管理会社に見張られているようにじるがいても議ではない。
契約終のすべてが当だったとは言い切れなかった。
同に、民の苦を検証せず、31世帯が退職を求めたかのように扱った会社の続きにも問題があった。
志津は、解決を受け取る代わりに、会社が《民の署名が解雇を直接求めるものではなかったこと》《本への聞き取りが分でなかったこと》を面で確認するよう求めた。