"父の葬儀の日_夫は愛人を車に乗せて去った" 第2話
』
由美の喉が乾いた。
い当たることがあった。
父が倒れてから、浩司は急に、「の権利ってどこにあるんだ」「親父さんの定期預、満期いつ?」「印鑑は由美が持ってるの?」と聞くようになった。
由美は当、むしろありがたいとっていた。自分は介護で精杯だった。浩司が財産のことまで考えてくれている。そうっていた。
父のは続いた。
『森田先に必な続きは頼んだ。財産のことは由美自が決めればいい。誰かに急かされて渡す必はない。』
最の数だけ、文字がしきかった。
『俺が残したいのはじゃない。おが嫌だと言える余だ。20結婚していても、夫に何でも渡す義務はない。』
由美はそこで初めて泣いた。
葬儀でも、葬でも、駅でからろされたも、涙はなかった。でも、父の「嫌だと言える余」という言葉だけで、張りつめていたものが崩れた。
森田弁護士の名刺をに取る。裏面に、父の字で『今に話しろ』とかれていた。
由美は計を見た。午442分。迷ったのは10秒ほどだった。
名刺の番号へ話した。
「森田法律事務所です」
「正雄の娘の、佐藤由美と申します」
数秒の沈黙。すぐに男性の声へ代わった。
「由美さんですね。森田です。お待ちしていました」
58歳の森田弁護士は、父と30以の付きいがあると言った。
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「お父様から、もしものはあなたから連絡が来ると聞いています」
「父は、何をお願いしていたんですか」
「まず、遺産の理です。公正証遺言も作成済みです。お父様名義の、預、価証券について、あなた以の第者が勝に処分できる状態にはなっていません」
由美はしだけ息を吐いた。
「浩司は……何かしたんでしょうか」
森田の声がくなる。
「お父様の座について、へ問いわせをした形跡があります。正式な代理権はありませんので、側も報をしていません」
「そんなことまで」
「もう1つ。浩司さんの会社について、お父様がかなり配されていました」
由美は鞄のの資料を見る。
「この会社の資料ですか」
「はい。ただし、それは完成した証拠ではありません。資移に自然な点があるという理です。詳しい事をっている物がいます」
「誰ですか」
「田さんという方です。浩司さんの元副社です」
由美は眉をひそめた。
田。3、会社のを使い込んで解雇されたと聞いていた男だった。
「田さんは、会社のおを……」
「それは浩司さんから聞いた話ですよね」
森田にそう言われ、由美は黙った。
「詳しい話は、事務所でしましょう。そのに1つ確認させてください」
「はい」
「浩司さんは今、あなたと緒ですか」
由美はの向こうを見た。
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「いいえ。父の葬儀の帰りに駅でろされました」
森田は数秒黙った。
「そうですか」
声には驚きより、納得にい響きがあった。
「それなら、こちらから浩司さんに連絡します」
「今ですか?」
「相続財産について、あなたを通さず接触しないよう伝えます。お父様から、に通してほしいと依頼されていました」
話を切ってから5分も経たなかった。
方、その頃。
浩司は美穗とで郊のホテルへ向かっていた。
「やっと終わったな」
浩司が言った。
美穗はネックレスに触れながら笑った。
「、どのくらいになるの?」
「駅いし、最でも8000万。預もある」
「じゃあ会社、何とかなるね」
「ああ。由美に相続させて、そこから会社に貸させればいい」
「奥さん、すかな」
浩司は笑った。
「すよ。あいつ1じゃ何もできないから」
その、スマートフォンが鳴った。
らない番号。
「はい」
『森田法律事務所の森田と申します。正雄様の相続についてご連絡しました』
浩司の表が止まった。
第2章 「通帳と印鑑、どこ?」
翌朝。
由美は父のにいた。
葬儀の片づけ。典帳。寺への支払い。役所へ提する類。やることはいくらでもあった。
午9過ぎ。玄関がいた。浩司だった。
昨のことを謝るでもなく、靴を脱ぎながら言った。
「昨、森田って弁護士から話来た」
由美は顔をげた。
「そう」
「親父さん、何か変なこと頼んでたの?」
「何が?」
「財産のこと」
浩司は居へ入り、周囲を見回した。
「通帳と印鑑、どこ?」
昨、父のを読んでいなかったら、由美は普通に答えていたかもしれない。