"消された母の名前" 第11話
きな会社のでは使い方がなくなっただけだった。
ツアー終、参加者のが言った。
「次は、の見える町へきたい」
。
里美は、清子と直子の写真をいした。
2が逃げようとして、逃げられなかった。
いつか姉妹を連れてけるだろうか。
そう考えたが、すぐにやめた。
自分が美しい結末を作ろうとする必はない。
まず、次のツアーを作る。
里美は自分の仕事へ戻った。
清子と直子が再会したのは、里美が真んにったからではなかった。
直子からが届いた。
宛名は清子。
里美はけずに母へ渡した。
「読んで」
清子が言った。
「お母さん宛てでしょう」
「字がさくて見えない」
鏡をかければ読めるはずだった。
それでも里美は、母の隣へ座って封筒をけた。
《清子姉さんへ。鋏を返してくれて、ありがとう》
《私は今も、姉さんが里美を私から奪ったとうがあります。同に、姉さんが育ててくれなければ、里美がどんなを送ったか分からないともいます》
《謝とみは、どちらかつにできません》
里美は読むのを止めた。
清子が言った。
「続けて」
《ののことを、々いします。あの、姉さんが緒に列へ乗ってくれたら、私のは違ったかもしれません。でも、それが良いだったかは分かりません》
《私は、姉さんを許すために会いたいのではありません。
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許さないと伝えるためでもありません。ただ、2ともきているうちに、度だけ同じを見たいといました》
の最に、付がかれていた。
1か。
写真を撮った辺の駅。
清子はく黙った。
「く?」
里美が尋ねた。
「かない」
「分かった」
里美は説得しなかった。
を箱へ入れた。
数、清子が尋ねた。
「へは、何の?」
里美は笑わなかった。
「1012分」
「は、何を着ればいい?」
「何でもいいでしょう」
「写真を撮るかもしれない」
清子はい藤のカーディガンを選んだ。
約束の、里美は清子を辺の駅まで連れていった。
直子は施設の職員と緒に来ていた。
姉妹は、改札ので向きった。
53ぶりだった。
清子は直子の顔を見ても、すぐには名を呼ばなかった。認症のため分からないのか、それとも言葉がないのか、里美には判断できなかった。
直子が先に言った。
「姉さん」
清子の目から涙が落ちた。
「老けたね」
最初の言葉は、それだった。
直子は泣きながら笑った。
「姉さんも」
4でまで歩いた。
の終わりで、がしかった。写真に写っていた防波堤は改修され、昔の面はほとんど残っていない。
姉妹は並んでベンチへ座った。
里美と施設職員は、しれた所で待った。
何を話したのか、すべては聞こえなかった。
々、清子の声がきくなる。
直子も首を振る。
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仲直りの再会には見えなかった。
1ほどして、清子が里美を呼んだ。
「写真を撮って」
姉妹は防波堤を背に並んだ。
清子は直子とのをし空けている。
直子も肩を寄せなかった。
里美はスマートフォンを構えた。
「もうしづいたら?」
そう言いかけて、やめた。
今の距が、2の53だった。
画面ので、清子は緊張した顔をしている。直子はの方を見ていた。
完璧な写真ではない。
それでもシャッターを押した。
帰りの駅で、清子が突然混乱した。
「里美がいない」
目のにいる娘を探し始めた。
「私が里美よ」
「違う。里美はさい子。赤い靴を履いてる」
清子は泣きながら駅のホームへ向かおうとした。
里美が止めようとすると、腕を振り払った。
その、直子が清子のへった。
「姉さん。里美はここにいる」
「嘘よ」
「きくなったの」
直子は里美を指した。
「姉さんが育てたから、53歳になったの」
清子は里美を見た。
い、顔を確かめていた。
やがてを伸ばし、娘の頬へ触れた。
「本当に?」
「本当だよ」
里美が答えると、清子はしたように目を閉じた。
直子は、その様子を静かに見ていた。
自分が産んだ子どもが、姉を母親として求める姿。
苦しくないはずはない。
それでも直子は何も言わなかった。
帰り際、里美は直子へ尋ねた。
「丈夫?」
「丈夫ではありません」
直子は正直に答えた。
「でも、来てよかったです」
「また会う?」
「今は分かりません」
それでよかった。
次の約束をしなくても、今会ったことは消えない。