"余命半年からの再出発" 第10話
「ありがとう」
く言った。
翔太もく頷いた。
その夜、2で夕をべた。
以なら佳代子が何品も用したが、そのはスーパーで買った総菜と噌汁だけだった。
「これだけ?」
翔太が尋ねた。
「嫌なら自分で作って」
「病に料理させようとはってないよ」
「病でも、お腹は空くの」
翔太は蔵庫をけ、卵焼きを作った。
形は崩れ、もし濃かった。
「お父さんよりはね」
佳代子が言うと、翔太は箸を止めた。
「比較しなくていいよ」
「そうね」
佳代子は謝った。
夫婦の問題を息子との会話へ持ち込まない。
簡単なようで、何度も識しなければできなかった。
、翔太が台所を片づけた。
佳代子は作業部で、注文された子の刺繍を続けた。
のに、ミシンの音との音が響く。
以と同じ。
同じ台所。
同じ卓。
それでも、そこで暮らすの関係はしずつ変わっていた。
誠が突然へ来たのは、婚調が始まって8かだった。
夜9を過ぎていた。
佳代子は入浴を終え、作業部で子の仕げをしていた。玄関のチャイムが何度も鳴り、画面を見ると誠がっていた。
瞬、けるか迷った。
弁護士からは、直接話しわないよう言われている。
それでもはたいがっていた。誠は傘を持たず、髪もコートも濡れている。
佳代子はチェーンをかけたまま扉をけた。
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「何?」
「し入れてくれないか」
「弁護士を通して」
「今は、そういう話じゃない」
誠の顔は悪かった。
佳代子は救急を呼ぶべきか迷ったが、誠は病気ではないと言った。
「由美子と別れた」
交際相の名だった。
佳代子は何も言わなかった。
「向こうに、ほかの男がいた」
誠は笑った。
「俺と暮らすって言いながら、若い客とも会ってた。俺の退職を当てにしてたみたいだ」
佳代子は扉の隙から夫を見た。
「それを、私に言いに来たの?」
「く所がない」
「マンションは?」
「由美子の名義だから、てきた」
「ホテルへけば」
「がない」
誠は財産分与の話が終わるに、退職の部を交際相との活費へ使っていた。しい具、旅、の。っていた以に貯が減っているという。
「しのでいい。このに置いてくれないか」
佳代子は、半まで望んでいた言葉を聞いた。
夫が帰ってくる。
になった台所へ、もう度誰かが戻る。
病気のに捨てられたりより、33の習慣の方がければ、扉をけていたかもしれない。
「私が病気だと分かった、あなたは何をしたか覚えてる?」
「悪かったとってる」
「婚届をした」
「あのは、向こうとの約束があった」
「私との約束は?」
誠は黙った。
結婚式の。
病めるも健やかなるも。
あの言葉を本気で覚えているわけではない。
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それでも33緒に暮らしたことは、何かの約束だったはずだ。
「治療しなければ半と言われた私に、をるまで半待つと言った」
「本当に悪かった」
「私が治療して、のことを調べて、働く方法を考えている、あなたは何をしてたの?」
「だから、謝ってるだろう」
誠の声に苛ちが混じった。
佳代子はその変化を見逃さなかった。
夫は反省して戻ったのではない。
く所がなくなったから、妻がまだいるをいしただけだ。
「帰る所がなくなったから、私を族に戻すの?」
「33夫婦だったんだぞ」
「その33を先に捨てたのは、あなたでしょう」
「度の違いで全部終わりなのか」
「度?」
佳代子は静かに聞き返した。
2の関係。
病院から戻ったの婚届。
治療のの売却。
息子に先に話し、妻に黙っていた。
どれも度ではない。
「私、で治療を始めたの」
佳代子は言った。
「入院の保証もいなくて、受付で何度も説した。髪が抜けた朝も、がて危なくなった夜も、あなたはいなかった」
誠は目を伏せた。
「でも、いなかったから分かったこともある。私は、あなたがいなくても病院へけた。分からない類も読めた。仕事もしずつ始めた」
「佳代子」
「あなたが帰ったら、また私はあなたの事を作って、嫌を見て、自分のことをにするとう」
「そんなことさせない」
「あなたがさせるんじゃない。私が勝にするの。33そうやってきたから」
佳代子は扉のチェーンをさなかった。