"余命半年からの再出発" 第3話
「いますけど、頼めません」
「ご兄弟やご親戚は?」
佳代子には6歳の姉・志津子がいた。だが姉とは、母親の介護をめぐって7からほとんど連絡を取っていなかった。
母親は認症になり、最の3を志津子ので過ごした。佳代子も週に2度通ったが、姉からは「たまに来て伝うだけのには分からない」と言われた。
母がくなったあと、遺産の分け方で論になった。
佳代子は法定通り半分を求めた。
志津子は、介護をしたを考えてほしいと言った。
結局、を売ったをしく志津子が受け取ることで決着したが、姉妹の関係は壊れた。
「姉がいます。でも、連絡はしていません」
受付の職員は、医療相談員を呼んだ。
相談で事を説すると、病院の制度や公な保証支援を使えるがあると教えられた。治療費についても、額療養費制度を使えば自己負担には限があるという。
佳代子は、恥ずかしくなった。
夫がいなければ入院できない。
がなければ治療を続けられない。
では何もできない。
そうい込んでいた。
「分からないことは、慮せず聞いてください」
相談員のという女性は言った。
「で治療している方は、佳代子さんだけではありません」
病は4部だった。
窓側のベッドには、佳代子より10歳ほど若い女性がいた。
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抗がん剤治療の途らしく、い髪に柔らかな子をかぶっている。
「初めまして。奈緒です」
女性はるく挨拶した。
「うるさかったら言ってください。私、眠れないとラジオを聞くので」
佳代子も名乗った。
ほかの2は検査へており、病は静かだった。
荷物を理していると、奈緒が尋ねた。
「今から治療ですか」
「検査をして、からと言われました」
「最初は怖いですよね」
「あなたは、何回目ですか」
「5回目。あと1回で終わる予定です」
奈緒は48歳だった。
夫とは10に婚し、学の息子がいる。自宅で翻訳の仕事をしながら治療を続けていた。
「族は?」
奈緒が何気なく尋ねた。
佳代子は迷った。
夫に婚届をされた。
息子は帰ってこない。
そう説すれば同される。
同されたくなかった。
「夫は仕事です」
嘘をついた。
奈緒はそれ以聞かなかった。
午、医師から治療計画の説を受けた。
薬を数かけて点滴し、それを3週ごとに繰り返す。最初の治療は入院でい、状態が定すれば通院へ切り替えられるという。
「ご族には説しなくて丈夫ですか」
医師が尋ねた。
「丈夫です」
「副作用で体調が急変した、連絡できる方はいますか」
佳代子は答えに詰まった。
翔太の話番号をくことはできる。
だが連絡された息子が、本当に病院へ来るかは分からない。
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「息子がいます」
結局、翔太の名をいた。
夜、翔太へ連絡した。
《病院の緊急連絡先に、あなたの番号をきました。迷惑なら変更します》
返事は1に来た。
《別にいいよ。でも、すぐけるとは限らない》
佳代子は画面を閉じた。
息子がたいになったとはいたくなかった。
仕事が忙しい。
急なことで何を言えばいいか分からない。
父親から先に婚の話を聞き、母親とどう接すればいいか迷っている。
いくつも理由を考えた。
族の言葉がりない、佳代子はいつも自分で理由を補ってきた。
誠が帰りの遅いは、仕事が変なのだとった。
結婚記を忘れたは、疲れているのだと考えた。
翔太が半連絡をくれなくても、元気ならそれでいいと言い聞かせた。
理由を補えば、傷つかずに済む。
しかし本当は、相へ確かめるのが怖かっただけかもしれない。
翌朝、最初の抗がん剤治療が始まった。
透な薬が、点滴の管を通って体へ入ってくる。
これが病気をさくするのか。
それとも、自分の体を壊すのか。
佳代子には分からなかった。
数、吐き気とだるさが始まった。
をんでも気持ちが悪く、体を起こすこともつらい。護師が薬を追加してくれたが、夜になっても眠れなかった。
向かいのベッドから、奈緒がさな声で言った。
「今が番きついかもしれません。無理に元気になろうとしなくていいですよ」
佳代子は布団ので頷いた。
「私、治療するがあるのかな」