"消えた実印" 第10話
常活はほぼ自しており、すぐに認症と診断される状態ではない。ただし、今するもあるため、定期な検査と活の対策が必だという。
「暮らしは無理ですか」
文が尋ねた。
医師は首を振った。
「今の段階で、暮らしをやめる必はありません。ただ、の管理、薬、銭管理には夫が必です。ご本がどう暮らしたいかを確認し、ご族と支援方法を考えることが切です」
文は隣の織を見た。
「私は、このにみたい」
「分かっています」
織は答えた。
「でも、ガスはし怖い」
「IHに替える方法もあります」
「薬も忘れてた?」
「々」
「おのことは?」
織は答えにくそうにした。
「気料を度、払ったとい込んでいました。それから、財布に入れた所が分からなくなったことが2回あります」
文はため息をついた。
「ノートにいてあったわね」
「はい」
「私、あれが嫌いだった」
織がさく笑った。
「っています」
「失敗したことばかりかれてるとったの」
「お義母さんがで暮らすために、必な助けを探したかったんです」
「最初から、そう言えばよかったでしょう」
「言ったつもりでした」
文は織を見た。
織もし困ったように笑っている。
同じ言葉を話していても、届いていないことがある。
嫁だから疑い、姑だから構え、相のの裏に悪を探す。
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18の、2は何度もそうしてきた。
病院をたあと、くの喫茶へ入った。
織は活メモを文へ差しした。
「これからは、お義母さん自がきませんか」
「私が?」
「忘れたことを記録するだけではなく、今何をしたか、誰と話したか、何が楽しかったかをくんです。私が来たは、必なことをにきします」
「交換記みたいね」
「嫌ですか」
「し気持ち悪い」
織が声をげて笑った。
文も笑った。
笑いが落ち着いた頃、織が真剣な顔になった。
「お義母さんに、聞かなければならないことがあります」
「何?」
「実印をお返しします。でも、そのに印鑑登録を廃止して、しい物へ変えた方がいいといます。達也さんが印のコピーを持っている能性があるので」
「そこまでしないと駄目?」
「のためです」
文は眉をげた。
織が気づき、慌てて言い直した。
「お義母さんが全に暮らすためです」
「同じでしょう」
2はまた笑った。
そのの夕方、区役所で印鑑登録を廃止した。
しい実印は、文が自分で選ぶことにした。以の黒牛ではなく、るいの琥珀の印鑑を注文した。
「派じゃない?」
織が尋ねた。
「これくらい目った方が、どこへ置いたか忘れないでしょう」
「置き所は、緒に決めましょう」
「仏壇は駄目?」
「達也さんがっています」
文はし考えた。
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しい実印はの貸庫へ入れ、通帳の部も預けることにした。常活用の座には必な額だけを置き、引きし額がきいはから連絡をもらう。
自分のを、自分だけでは守れなくなる。
最初は屈辱だった。
だが、誰かにすべて渡すのではない。
自分で仕組みを選ぶのだとえば、し気持ちが変わった。
帰り、織が言った。
「私、お義母さんへ謝らなければいけないことがあります」
「実印のことなら、もういい」
「それだけではありません」
織はち止まった。
「達也さんの借をった、最初に考えたのは、お義母さんのを売れば何とかなるかもしれない、ということでした」
文は何も言わなかった。
「にはしませんでした。でも瞬、本当にそう考えました。だから産会社の査定を見た、達也さんだけを責められなかったんです」
「それで広告を持ってたの?」
「はい。査定額や、齢者宅の費用を調べました」
文の胸に、さな痛みがった。
織は最初から完全に文の方だったわけではない。
を売れば借を返せると考えた。
その事実は、聞かない方が楽だったかもしれない。
「でも、へ来て、お義母さんが庭の梅を見ながら、来は枝をし切らないといけないと話すのを聞きました」
織は続けた。
「お義母さんにとって、このは売却価格ではないんだと、そのやっと分かりました」
「それまでは分からなかった?」