"返されなかった合鍵" 第4話
「では、なぜ部を残したんです?」
「戻ってきたに、居所がなくならないようにするためだと、父に話していたそうです」
千鶴は赤いランドセルを見た。
持ち主が戻る能性など、25ほとんどなかったはずだ。それでも雅夫は毎賃を払い、女の持ち物を保管し、録音を増やしていた。
しいカセットテープのには、女の声ではなく雅夫自の声が入っているのかもしれない。
「これは、今持ち帰ります」
千鶴は振込細と、最初のカセットテープをバッグへ入れた。
「の物は?」
「まだ捨てません」
それ以、理恵とは話したくなかった。
帰宅すると、奈が待っていた。
「でくって言ったでしょう」
「話にないから配したの」
千鶴はバッグを玄関へ置いた。
「お父さんには、子どもがいた」
奈の顔が変わった。
「女の子。あなたより9歳くらい」
「会ったの?」
「私は会ってない。でも、部にランドセルももあった。母親へ送もしてた」
「本当にお父さんの子なの?」
「本は違うといてた」
「じゃあ違うんじゃない?」
奈は迷わず言った。
その態度が、千鶴には気に入らなかった。
「んだがいただけで、全部信じるの?」
「お父さんは、そんな嘘つかないよ」
「秘密の部は持っていた」
「それには理由があるかもしれないでしょう」
「25、妻に言えない理由?」
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声がきくなった。
奈は黙った。
千鶴は自分が娘へっているのではないと分かっていた。雅夫にりたいのに、本はもういない。問い詰めても返事をしない。きているにりを向けるしかなかった。
「ごめん」
千鶴は先に謝った。
奈は首を振った。
「私も、緒に調べる」
「必ない」
「必あるよ。お父さんのことでしょう」
「これは夫婦の問題だから」
「でも、その子が私の妹かもしれないなら、私にも関係ある」
千鶴は答えられなかった。
翌、は雅夫の斎を調べた。
机には役所代の帳が、ごとに並んでいた。雅夫は几帳面なで、会議や張だけでなく、病院の予約や買い物まで細かくいていた。
2001の帳をく。
41。
《青葉荘契約》
43。
《岡野さん転居伝い》
415。
《美咲 録音》
記録は毎のように続いた。
《美咲 学面談》
《裕子さん 職業相談》
《美咲 運会》
《裕子さん入院》
族の予定より詳しかった。
同じ、奈は学3だった。
帳の10を見る。
《奈 唱祭》
その文字には、斜線が引かれていた。
千鶴は覚えている。
雅夫は急な仕事で来なかった。
奈は指揮者を務めた。千鶴がでビデオを撮り、帰宅した雅夫に見せようとしたが、「今度ゆっくり見る」と言ったまま、結局見なかった。
その、雅夫は仕事ではなかった。
帳の同じ欄に、さくかれていた。
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《裕子さん 警察同》
千鶴は帳を閉じた。
「お父さん、私の唱祭のに何してたの?」
奈が尋ねた。
「分からない」
嘘だった。
何をしていたかはいてある。
誰のために族との約束を破ったかも。
しかし理由が分からない。
「岡野裕子」という名を調べることにした。
インターネットには、ほとんど報がなかった。
奈が古い聞記事を検索できる図館のデータベースを見つけた。2000から2002まで、域と名を絞って探した。
30分ほどして、件の記事が表示された。
2001217。
《役所職員、活相談記録を正閲覧》
千鶴は記事を拡した。
役所の福祉課に勤務していた男性職員が、活相談者の個報を業務で閲覧したとして、職処分を受けた。記事に雅夫の名はなかったが、齢と所属が致している。
処分の理由となった相談者の名も伏せられていた。
ただ、記事の最にこうかれていた。
《職員は「過に担当した女性とその子どもの全を確認するためだった」と説している》
千鶴は雅夫が25、3か職になったことをいした。
あの、夫は「事務の問題で責任を取った」としか言わなかった。
千鶴が理由を聞くと、「族には関係ない」と言った。
料が減り、計は苦しくなった。奈の塾の費用を払い続けるため、千鶴はスーパーのパートを週3から5に増やした。
そのにも、雅夫は岡野母子を助けていた。
「お母さん」
奈が記事のを指した。
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