日本将棋連盟は16日に、妊娠や出産に関わる女流タイトル戦での不戦敗規定を削除することを発表しました。この規定は今年4月に制定されたもので、福間香奈女流六冠や岡山県倉敷市から見直しを求める要望がありました。連盟は新たな規定を模索するため、外部からの意見も取り入れ委員会を設置し、幅広く議論を行う方針です。これまでの規定では、出産予定日を基準に産前6週と産後8週、計14週に対局が重なる場合、対局者を変更することになっていました。

新たな方針では妊娠や他の健康上の事情がある場合、対局日の変更など番勝負の実施方法について調整を行うとしています。

この事態は、社会制度の欠陥が浮き彫りとなった典型例です。将棋連盟が妊娠出産時の不戦敗規定について見直しを求められたことは、女性棋士の「リプロダクティブ権」への不適切な制約が問題の核心です。これまでの規定は、女性の選択権を狭め、職業と家族計画のどちらかを選ばざるを得ない状況を強いていました。まず、すべての棋士が公平に競技できる環境を整備する責務が連盟にあります。将棋界の制度をより柔軟にし、出産や健康の事情に応じて柔軟に対局日程を調整することが求められます。加えて、多様な意見を反映した新たな規定作りを進めることで、棋士の人権を尊重しつつ競技の質も維持することが可能です。この問題に対する適切な対応は将棋界全体の価値観の刷新を促進する機会でもあり、さらなる社会の進歩の一端ともなるはずです。

ネットからのコメント

1、妊娠・出産というイベントを、社会的な不利の少ない状態で乗り切れるようにするのは、他の業種でも進められていることで、まあ検討を始めるのが遅すぎた、とも言える。ただ、スポーツと同じで対戦相手のいることではあるので、求められる対局をこなせない場合はどうするか、というのは、期限を切って対応スべきことでもあると思う。これは女性に限らずで、疾病による長期離脱や場合によっては精神疾患で対局できないとか、そういう状況も同じ土俵で評価されるべきだろうとは思う。いずれにせよ議論が起こるのは悪いことではないので、それに対してどういう枠組みで決めていくかをちゃんと提案していくべきなんだろうね。

2、他の女流棋士たちは賛成なのかな？つわりが酷かったり産後の復帰も人によるから半年以上将棋ができない状態になる可能性もある。で、半年待ってようやく体調も戻って対局できるとなった時、今度は相手のほうが妊娠出産でまた対局が延期となってしまう可能性もある。結局王位がずっと対戦もない状態がかなりの期間続く状態になる。その間に強い棋士が出てきても挑戦もできない事態になるけど、ファンやスポンサーも含めて「それで構わない」というなら外野がどうこういう問題ではないけどね。

少なくとも影響を受ける人の全員とは言わなくても多数が理解して納得できる状態でないとまずいと思う。

3、一般の人は知らないから簡単に言いますけど、単純に対局だけの問題じゃないんですよね。タイトル戦の日程をずらすと、対局場となる旅館やホテルの部屋の確保、付随して行われる前夜祭や解説会、子ども大会、名所の訪問などにも全て影響するので。これらは概ね半年～１年以上前から企画・準備されますから、影響はかなりの範囲に及びます。

4、挑戦者もタイトル獲得のためにいろいろなことを犠牲にしてやっていると思うので、タイトル戦をただ延期にするだけではない配慮も必要だと思う。タイトル保持者が妊娠、出産、産後の休養期間なども含めて、挑戦者はその間中、ただチャンスを待ち続けなければいけなくなるのでしょうか？例えばボクシングのように暫定王者決定戦を行って、暫定王者になれば防衛戦を行い、チャンピオンが復帰すれば優先的に統一王者決定戦というようなことまで考えてはどうかと思う。