日銀の植田総裁が12月の金融政策決定会合で利上げに踏み切る可能性が高まっています。総裁が12月1日に名古屋での経済界代表者との懇談で、その意向を示したため、市場では利上げ観測が急速に広まりましたが、短期間で円高への影響が消え、円安に戻りました。特に注目されたのは企業の賃上げ動向で、春闘の「初動のモメンタム」が順調であることを根拠としています。
日銀が12月19日の会合で利上げを決める可能性が高く、市場もこれを織り込みつつありますが、日米金利差が縮小する可能性は低く、円高にはつながりにくい状況です。市場では日銀の利上げ余地の乏しさが意識され、円売りが進む可能性もあります。さらに、米国の年末休暇期間中は為替介入が困難となるため、円売りが膨らむリスクも考えられます。

日銀の利上げ方針は、金融市場の期待に沿う形で進行していますが、円高への影響が限定的であることに疑問を抱かざるを得ません。為替市場が日銀の利上げ効果を過小評価していることは明白であり、これは金融政策の信頼性を問う問題にも発展しかねません。日本経済の安定には、今後の政策展開が重要となります。利上げを効果的にするためには、金融市場との信頼関係を再構築する必要があります。具体的には、まず政策意図を明確に伝えることが求められます。
第二に、為替介入に関する明確な戦略を示すことが重要です。さらに、賃上げ動向を支えるための企業支援策を強化することも有効です。これらの取り組みを通じて、日銀が市場の信用を取り戻し、政策を効果的に実施することが期待されます。
ネットからのコメント
1、12月の政策金利の利上げがほぼ確実視され、最近の長期金利の上昇もあり、金利に関するニュースが多いのですが、問題は、名目金利と実質金利を認識している記事が少ないことです。ほとんどの記事が名目金利のみに着目していますが、着目するべきは実質金利です。長らく物価上昇がない世界であったのですが、コロナ禍以降は物価が上昇し現在は3%程度です。その物価上昇に合わせて名目金利も上昇してよいのです。しかし、名目金利の上昇が追いつかないので、実質金利はマイナス圏内です。ですので、物価上昇率に見合った金利にする必要がありますし、外国ではそうなっていますが、日本だけ金利の引き上げが遅れているので、円安になるのは当然です。経済が順調で成長過程にあって、名目金利2%、物価上昇率3%、賃金上昇率4%という世界が実現できれば理想でしょう。
低金利のままで良いという考え方は、最大の債務者である財務省の思うつぼです。
2、円安を悪者扱いする人が多いですが、日本経済の今の実力から言えば、今程度の円安はやむを得ないことです。円安がなければ、輸出産業の競争力を維持できず、結局外貨も獲得できず、輸入品を買えなくなることに変わりはないからです。生産性と技術の向上で競争力を高めるしか、日本に解決策は無いのに、利上げで問題を解決しようというのはナンセンスです。
3、日銀の金利引上げだけで為替相場が円高になることはない。日本の国力が相対的に低下している事が原因なので、今後1ドル70円と言った円高になる事はない。長期的には1ドル200円を目指して円安に動いていく。
4、為替の決定要因は短期的には金利差、中期的には経常収支、長期的には購買力平価でそこに生産性要因(バラッササミュエルソン効果)が絡むのがざっくりした整理だが、金利差は縮小傾向にあり、経常収支も過去最高値圏内にあり、理論的には円高になるはず。金利差の縮小の勢いが弱いから円高にならないというのが多くの専門家の説明だが、潜在成長率を上げる期待を海外の投資家に抱かせていないことが主因ではないか。
高市政権の経済政策は財政政策と金融政策に偏っており、日本経済の構造的な改革や規制緩和に手を付けようとしていない。防衛費の増大や注力業界への補助金の投入だけでは生産性の向上や潜在成長率のアップにつながらず、税制規律の不安から長期金利も上がり景気の腰折れリスクにも直面している。だから長期の海外マネーを国内に呼び込むことができず円高にならないのではないか。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/55b9a75bba8405b3537c3ca762d47466817076ca,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]