日中関係の緊張が続く中、日本の戦略的外交の欠如が指摘されています。高市早苗首相の台湾有事に関する発言から約1ヵ月、中国からの経済的・軍事的圧力が増す中で、前駐中国大使の垂秀夫氏は、日本が戦略を持たないことが日米や日中関係において問題であると述べています。彼は、中国共産党と一般中国人を区別し、感情論ではなく明確な戦略を持つことが必要だと強調しました。

過去の安倍晋三元首相と比較し、現総理の戦略的思慮の欠如を痛烈に批判しています。

日本の外交における戦略の欠如は深刻です。現状、日本は国際舞台での立ち回り方を見誤り、結果として米中双方から軽視される状況を招いています。中国共産党という複雑で強硬な相手に対し、感情ではなく冷酷な戦略が必要です。まず、一方的な「友好」路線を修正し、明確な国家目標を設定しなければなりません。そのためには、まず日本内部で戦略的思考を育てる教育改革が急務です。次に、感情に流されない厳格な交渉能力を養うべきです。最後に、中国だけでなく、アメリカや他国との連携を強化し、多方面での外交を推進することで、リスクを分散させるべきです。これらの対策により、曖昧な立場から脱却し、国際社会での存在感を再構築することが可能です。これこそが、弱腰の外交から脱却し、強固な国家へと歩みを進めるための必須条件であると断言します。

ネットからのコメント

1、スレタイと記事の内容の乖離に驚いた。極めて真っ当な中国観だと思う。ただ、安倍総理の現役時代と現在の中国では、中国の経済状態が違うし、関係を保つよりも壊す方向で動いたほうがいいと思う。そういう意味で高市発言は、意図せず起きた事かもしれないが、この段階で中国との関係を見直す機会になったという点で称賛したい。

2、自宅の玄関に鍵をかけているのに、なぜ広大で危険な国家の安全保障には、「鍵を外せ」と無責任な要求をするのか？ ​「世界は良い人ばかり」だから軍備を放棄すれば誰も襲ってはこないという思想は、飢えたライオン檻に裸で入るに等しい暴挙であり、自国の生存と国民の安全に対する責任を放棄する行為だ。この態度は、力による現状変更を企図する国家に対し、「抵抗しない」という安価なコストで侵略を発想させる、究極の戦争推進思想である。国際政治に、非武装は侵略者に「犠牲なしに目的を達成できる」という非合理な確信を与え、武力行使の敷居を決定的に下げる。故に、真の平和は、相手の善意ではなく、「戦えば必ず割に合わない」と計算させる、冷徹な抑止力という現実的な力の上にしか成立しない。

外交だけでの永続的な安定維持は絵に描いた餅だ。 備えを持たず、理想に逃げることは自己欺瞞であり、実は最も戦争への扉を開く行為なのだ。

3、大戦での経験から、日本は米国によって平和第一主義の思想を植え付けられ、それが今に至っていると思います。その結果のひとつが学校教育、そしてもうひとつは国内メディアの存在だと思います。平和が何よりも1番であり、そこを追求することは間違いありません。他方で平和ボケとも言われたりしますが、戦後80年という時間が経ち、その間に諸外国が急速に変化している中、日本はその変化についていけなかったのではないでしょうか。将来にわたり、日本の平和を維持し続けるためには、日本としての価値観だけに捉われることなく、周りの動きを敏感に感じて対応していかなければならないと感じます。

4、記事を読むと大使は日本政府に、中国らアメリカに対しても自国の利益のために戦略的に動けと言っている。これまでの日本政府は事勿れ主義だったけど少なくとも高市内閣は中国に対しては不動産取得の制限、ビザの厳格化など具体的な手を打っている。

自分は、外務省の出した外交専門書「外交」も購入した。今まで興味もなかった外交について、高市内閣が高支持率で、興味を持って外交政策にも目を向ける人が増えた。これは、政治家主導ではなく、国民一人ひとりが知り、考え外交に対するコンセンサスを形成するのに良い転換点となっていると思います。