法制審議会で法務省が危険運転致死傷罪の見直しに向け、数値基準の試案を提示しました。具体的には、飲酒運転に関する基準として、血中アルコール濃度が1.0ミリグラム以上、呼気中は0.5ミリグラム以上とし、高速度運転では、最高速度が60キロを超える道路で追加60キロ、60キロ以下の道路で追加50キロを超えることを危険運転致死傷罪の適用範囲としています。

今後、この試案を基にした意見の取りまとめが進行される予定で、さらには「ドリフト走行」も同罪の対象とされる方針です。

この試案は確かに一歩前進だが、批判の余地も多く残されています。まず、飲酒運転や高速度運転の数値基準は重要な基準と言えるものの、その背景には特定の悪質運転者を意図的に裁くための複雑な法律が必要です。また、ドリフト走行などの具体的な状況に対する基準も然るべき議論が求められます。制度の欠陥として、適用の曖昧さを完全に解消するためには、現場での迅速かつ公平な判断を可能とする体制の整備が急務です。対策としては、まず現場における計測機器の導入と操作マニュアルの整備、次に警察官による公平かつ迅速な判断を支える研修強化、最後に市民からのフィードバックを積極的に取り入れる制度の整備が考えられます。

これらの改善により、安全運転の奨励と危険運転の抑止力が格段に向上することでしょう。

ネットからのコメント

1、数値基準を明確にすること自体は前進ですが、「基準を超えたら危険、超えていなければ安全」ではないという視点が欠かせないと思います。飲酒も速度超過も、実際の危険性は道路状況や運転者の判断力に大きく左右されます。また、ドリフト走行を明確に危険運転として扱う方針は当然ですが、悪質運転の摘発・立証が容易になる仕組みづくりも並行して進めないと、法律だけ厳しくしても実効性が伴いません。遺族の無念に寄り添える制度になるよう、数字だけで終わらない丁寧な議論を望みます。

2、数値基準を見直すのであれば広く一般からの意見も聞くべき。有識者が集まって机上の話をしたところで実際に危険運転に遭遇して怖い思いや嫌な気持になった人、家族や自分に実害のあった人などは特に丁寧に意見を聞いて内容に盛り込むべきだと思う。

3、基準を作るのはとてもいいと思いますね、曖昧な運用で悔しい思いをする被害者や遺族が少しでもくやしさを晴らせるようになりやすくなる。

しかし基準だけではなくその他の運転様態も含めてより厳しく判断するようにしてほしい。基準を1km下回るので適用除外、ではなく、総合的に見て基準を下回るが悪質なので危険運転である、というように厳しくやってほしい。

4、スピードの数値化は素晴らしいが、飲酒は数値の問題ではない気がする。そもそも、酔うために酒を飲むわけだから、自分が正常ではない（酔っている）、すなわち人に危害を加えるおそれのある状態に自らなると決断して飲酒するのだから、結果に応じて通常の傷害罪や殺人罪を適用して良いのではないかと思う。それくらい、飲酒運転は罪深い。