東京都港区の三康図書館では、戦前・戦中に発禁本とされた約1200冊の書籍が所狭しと並んでいます。これらの本は戦時中に検閲が行われた結果、多くは没収や廃棄される運命でしたが、図書館員たちの抵抗によって守られました。1893年に制定された出版法に基づき、国は内容を「不適切」と判断した書籍を取り締まり、図書館の蔵書にもその矛先が向けられました。
例えば、県立長野図書館では400冊が差し押さえられ、他の大学図書館でも同様の措置が取られました。当時の大橋図書館では、「憲秩紊本」に分類された書籍が1182冊ありましたが、竹内善作図書館主事らが憲兵の要求に抵抗し、書籍を隠し通しました。その勇気が、今に至るまで文化的遺産を保持する結果となっています。
発禁本の取り締まりは、国家が文化を管理しようとする危険性を如実に示しています。この背後にある制度の欠陥は、表現の自由を脅かす大きな問題です。第一に、歴史的な検閲行為がもたらした影響を、現代教育のカリキュラムに反映させる必要があります。次に、情報の自由を保障する法律を強化し、意図的な文化的抑圧を防ぐ体制を構築することが急務です。そして、図書館やアーカイブをデジタル化し、より広くアクセス可能にすることで、過去の知識を保護しつつ共有する道を開くことが重要です。
結局のところ、知の自由と権力による制限の対比は、私たちが直面する普遍的な問題です。勇敢な図書館員たちが未来のために戦った価値観を胸に、表現の自由を守ることが私たちの責任であると強く感じさせられます。
ネットからのコメント
1、検閲は時の政府や一部権力者にとって都合が悪いからというくだらない理由で行われる。そんな基準など数十年で変わってしまうのは歴史が示すとおり。一方図書は数百年を越えてのこり続けるもの。たかだか数十年の存在がそれを侵してはならない。図書館の自由に関する宣言図書館は、基本的人権のひとつとして知る自由をもつ国民に、資料と施設を提供することを、もっとも重要な任務とする。この任務を果たすため、図書館は次のことを確認し実践する。図書館は資料収集の自由を有する図書館は資料提供の自由を有する図書館は利用者の秘密を守る図書館はすべての検閲に反対する図書館の自由が侵されるとき、われわれは団結して、あくまで自由を守る。
2、港区にこんな図書館があるとは知りませんでしたね、すごい。国家権力が官憲の力を使って言論の自由を奪おうとしても、80年後もこれだけの本が残っているということは人間の自由に対する強い願いというものを感じざるを得ませんね。
どれだけ弾圧しようと、人はそれに対して抵抗して自由を求める。数々の圧政を敷いた政権が世界中で倒れてきたことや、この図書館を見ると人間の自由への本能的な希望を感じます。今度行ってみよう。
3、発禁本の気持ちになって考えると、その存在は単なる古い書物ではなく、時代の抑圧と自由のせめぎ合いを体現する証拠のように見えます。朱印を押され、長らく人の目から遠ざけられた本は、当時の社会がいかに言葉の力を恐れていたかを物語っています。同時に、それを守り抜いた図書館員の姿勢は、文化を後世に残すための強い意思を示しています。焼却や廃棄を免れ、今こうして公開されていることは奇跡的であり、自由に本を読める現代が決して当たり前ではなかったことを思い出させてくれます。発禁本は過去の遺物ではなく、言論の自由の尊さを伝える生きた教材として存在し続けているといえるでしょう。
4、余計なお世話かもしれんが、原本は開架にはせず、コピーしてデジタル閲覧にしておいたほうがいいと思うよ。貴重なものだから盗む輩がいないとも限らないし、迷惑系チューバーとか歴史修正主義者が自分の名前を売るために破損しに来るかもしれない。
ちょっと心配だ。
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/c94779ed19c64a38690aff72ed1d9a5bdcd80d8b,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]