事件概要
2025年8月、政府は中国に依存しているレアメタル「ガリウム」の調達体制を見直す方針を固め、日米企業と連携して豪州に新たな生産設備を整備する。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)、双日、米アルコアが合弁会社を設立し、2026年から生産開始、2028年には年間55トン以上を供給予定。
これは日本が2021年に中国から輸入した量と同等で、現在の輸入量が10トン前後まで激減している現状への対応である。ガリウムは半導体やLED等に不可欠な戦略物資であり、中国の輸出規制が供給リスクを高めている。
コメント
中国がガリウム輸出の約96%を握る中、わずか数十トンの供給を止めるだけで日本の半導体関連産業が危機に陥る。この現実は、国家戦略としての「素材」の軽視が招いた明らかな脆弱性だ。レアメタルの多くは副産物でありながら、それを戦略物資と認識し活用する中国の一貫性に比し、日本の対応はあまりに受け身だった。
本質は、資源を「価格」ではなく「安全保障」として扱う意識の欠如にある。産業構造の基盤である素材の安定確保を、外交交渉や市場原理に任せる時代は終わった。
解決には、①長期的な資源リスクを見越した国家備蓄の整備、②抽出・製錬技術の国内研究支援、③リサイクル体制と法制度の抜本強化が不可欠である。さらに、海外産地の開拓とその政治的安定性のモニタリングも常態化すべきだ。
「経済は安全保障」――この視点を持たぬ国は、サプライチェーンの一点で崩れる。その教訓を今こそ徹底すべき時である。
ネットからのコメント
1、ガリウムに関する「世界生産をほぼ独占する中国が輸出管理を強化し、安定調達が難しくなっている」という状況こそが、非常に好ましくない。何かを一部の者や国が独占することの弊害を見事に物語っている。こういう状況の打開を目指す試みを強く歓迎し、期待する。
2、豪州はアジア太平洋防衛で最も信頼できるパートナーです。勿論本来はアメリカが1番のはずですが、トランプ政権は日本に負担を強いたり日本車排斥など損害ばかり与えているので、信頼関係という意味では今後も大切なCPTPPパートナーです。
3、>中国が23年8月にガリウムの輸出管理を強化してからは、日本への輸出は8~9割減の10トン前後にとどまる。
かつて中国が日本に打撃を与えようと輸出規制をして、日本は技術革新や中国以外の国から輸入を増やす事で対抗、逆に中国依存を減らして来た。この事がもっと他の分野でも広がれば良いのにと思うけど。
4、もちろん、あるべき姿だと思いますが、青山繁晴さん等が盛んに言われているように、将来を見据えると、日本の領海内の深海に多量に眠っている(だけではなく日々生成されている)レアメタル(自前資源)の採掘についても、政府全体として研究・検討していくべきではないですか?
引用元:https://news.yahoo.co.jp/articles/109b06d2af0d7244a1feee1012a96a325eb48ca1,記事の削除・修正依頼などのご相談は、下記のメールアドレスまでお気軽にお問い合わせください。[email protected]